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売買のヒント

預託金償還の幻想投稿日:2009年08月06日
 それにしてもバブル期にゴルフ会員権の現状を誰が想像したであろうか。預託金を集めゴルフ場を造り、そして余剰資金を次の建設資金に回す。預託金は利払いの必要のない、実に有り難い資金である。中には、一部建設資金を金融機関の借り入れで賄ったコースもあったが、バブル期に着工し、開場が崩壊後になったゴルフ場である。

 開場が90年のバブル崩壊までに間に合ったコースは胸をなで下ろしたことであった。しかし、一様に破綻している。会員にしてもこのようにゴルフ場が破綻に追い込まれることなど想像だにしなかった。誰もが相場は高値安定で推移すると考えた。誰が想像したであろう、預託金の償還が実際のこととなることを。だからゴルフ場も僻地にまで用地を求め、会員も資金で支えたのである。

 ゴルフ場経営会社も不幸であるが、会員も不幸である。経営会社は預託金の償還をしなければならないなど想像しなかったし、会員もそうであった。金融債務を持つ会社が破産や特別精算されたら会員への配当などほとんど期待出来ない。それにしても会員もよく耐えたものである。自己資金の購入であればその資金を失い、借り入れであれば弁済のその苦難たるやいかばかりであったろうか。

 破綻コースでは預託金のほとんどが切り捨てられる再生案が可決している。継続会員はカット後の預託金が10年据置となることが多いようだ。このように小さくなった預託金が10年後に返還されて何の足しになるというのであろうか。通常経営会社に安全なように切り捨てが行われているので、償還の行われることが将来においてないのであろうが、それが負担となるようなら再び法的整理に持ち込めばよいだけのことである。

 なぜ、会員はデットエクイティスワップを要求しないのであろうか。預託金から株式に、つまり金銭債権から資本に付け替えを要求するのだ。今や、一人のカリスマが預託金を集めゴルフ場を建設し、理事会を思いのままに運営するシステムは破綻しているのである。メンバーは資本の拠出者として会社経営に参画し、ゴルフ場を民主的に運営するパラダイムへの転換を今こそ時代が要請している。

 未だに破綻ゴルフ場を買収し、ゴルフ界に参入する資本家はカリスマを夢見ているようだ。多くの破綻コースを買収する外資、内国資本もそうである。プレー権のみのゴルフ会員権がこの先、市場でどれほどの評価を受けるだろうか。おおよそのコースで相場が名義変更料を下回るみっともないこととなるのであろう。

 ならばパブリックで生き残ると考えているのであろうか。確かにカリスマにとってパブリックは魅力的である。しかし、パブリックが国内に2,200コースも必要で、かつ生き残り可能かどうか、考えを巡らせるまでもなく明らかである。仮に国内の全てのコースがパブリックとなればまだまだ、フィーの切り下げ競争が行われ、需要と供給の均衡点では経営が成り立たないはずである。

 生き残るのは市街地の至近距離にある交通の便のよいコースだけとなる。このようなことを避けるために、パブリックを指向するのでなく、デットエクイティスワップでゴルフ会員権の価値を維持し、市場にマネーを呼び込むのだ。プレー権のみのゴルフ会員権はおそらく、将来この市場を失わせるであろうと憂慮に耐えないのである。

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